食事制限が必要になることが多い腎不全

腎不全の治療にとって食事の管理は最大のポイント

腎不全は食事を管理しながら治療を!

なぜ腎不全になると食事制限が必要になる?

腎不全は、慢性腎臓病に代表される腎臓の重大疾患です。現在の医学では、残念ながら腎臓の損傷部分を回復させる治療方法がないといわなければなりません。そのため、末期的な腎不全になってしまったら、人工透析か腎臓移植のどちらかしか生きていくすべが残されていないことになります。

一般的に、食事制限が必要な疾患は、不調が起こっている原因となる部位を回復させるために行うイメージが強いですが、腎不全の場合、少なくとも損傷部位の治療が不可能なのだから、それならば食事制限をする必要などないのではないか・・・という声もごくまれに聞こえてきます。しかし食事制限は、腎不全の場合必須になります。

確かに、人工透析療法を導入しなければならないレベルの腎不全など慢性腎臓病になったときには、逆に食事に関する制限は最小限にとどめられます。もちろん腎疾患である以上、まったく何を食べてもよいということにはなりませんが、しかし人工透析の前段階にくらべれば、食事に関する制限ははるかに緩いといえます。

ところが、透析治療を行う前の段階では、腎不全における食事制限は極めて重要な意味を持ってきます。この傾向は、腎不全などの腎疾患の治療の方向性(ガイドライン)とも大きくかかわってくるのです。

人工透析を行わないように治療することが重要

腎不全の治療は、基本的には腎機能の現状維持を目指すことが前提となります。腎臓が損傷した部分を回復できない以上、腎臓をそれ以上悪くしないことが重要なのです。そのために、食事制限が必要になります。

腎機能の一部もしくは大部分を損なっている腎不全では、健常者と同様の食事によって、正常に機能する腎臓の部位に過負荷が及ぶ、つまり腎不全が悪化しやすいこともそうですが、正常に機能できない腎臓に対し、健常者と同様の食事による負荷を与えることによって、十分に不要物や老廃物の排泄が行われないわけですから、それだけ身体的なトラブルの原因になりやすいことが想像されます。

とすると、たとえ軽度とはいえ腎不全などの慢性腎臓病を発症している状態で健常者同様の食事を摂取することによって、より人工透析のリスクが高まることになるのです。これが非常に重大な問題となります。ですから、できるだけ腎臓を悪化させないような、そして人体への影響がないような、つまりは人工透析を回避できるような食生活が必要となってくるのです。

腎不全の患者さんは、まずはそこのことを理解していただきたいと思います。