腎不全の患者さんは食事の管理が重要
腎不全は、腎臓の機能の一部、あるいはほぼすべてが損なわれた状態の疾患ですから、その治療の方向性として考えられる方法は2とおりです。1つは、何らかの方法で腎臓の機能を回復・代替すること、そしてもう1つは腎臓の機能の多くが不要な生活を送ることです。
前者は腎臓移植や人工透析という治療方法が考えられますが、基本的に腎不全の治療の方向性は、できるだけ人工透析は行わない、つまり腎機能の現状維持を目指すことになります。ちなみに腎臓移植に関しては、現実的な方法ではありません。
人工透析を行わず現状をキープしていくためには、徹底した食事の管理が重要になってきます。腎不全では、たんぱく質や塩分、カリウムなどの摂取が厳密に制限されます。つまりは、腎不全治療の前提として考えなければならないのが食事制限である、ということになります。
腎不全の重度でいえば、食事制限による治療が行われるレベルにくらべると、人工透析治療が行われる腎不全のほうがはるかに重度です。しかし実際の生活は、人工透析の時間的制約などの難しさに対し、食事制限のほうは好きなものも食べられず、お腹がいっぱいになるまで食べられないということで、人によっては人工透析以上にストレスがたまる治療法であるとも言われます。
食事制限が必要な腎不全患者さんの食事
単に食べられないというストレスだけでもかなり大きなストレスになると思いますが、仮に自分で食事の量や栄養バランスをコントロールするとなると、このストレスは私たちが想像する以上に大きくなると考えられます。何しろ、食事摂取量や栄養バランスを間違えてしまうと、すぐに腎不全の状況は悪化をたどり、身体への深刻な影響がおよぶリスクも考えられるくらいです。
そんなとき、腎不全患者さんにぜひおすすめしたいのが、いわゆる腎臓病食です。腎臓病食は、管理栄養士がその人の腎不全の症状に合わせたメニューを考えて食事を提供してくれるサービスです。ですから腎臓病食であれば、食べ過ぎや栄養コントロールのミス、さらには自己管理への不安を最小限にとどめることができます。腎不全の治療もストレスなくスムーズに進めることができるでしょう。
このように、腎不全をはじめとした慢性腎臓病の患者さん向けのサービスも徐々に開発されていますので、腎不全の患者さんにはそういったサービスもどんどん活用していただき、十分な腎不全治療を行っていただきたいと思います。